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ご挨拶

放送⼤学学園 理事⻑ 髙橋道和

 昭和58年(1983年)4月に設立された放送大学は、2023年、40周年の節目を迎えました。この間、設置者である放送大学学園は、特殊法人から特別な学校法人に移行しましたが、「大学教育の機会に対する広範な国民の要請にこたえ」「大学教育のための放送の普及発達を図る」(放送大学学園法第1条)という放送大学の言わば「建学の精神」は創設以来一貫しています。その精神に基づいて「学びたい人が、いつでも、どこでも学べる開かれた大学」の実現に努め、これまでに累計で、約182万人の学生が学び、約14万人が卒業・修了しています。

 一方でこの間に、大学進学率の上昇、平均寿命や就業期間の延伸、産業・職業構造の転換、放送・通信の技術革新など、学園・大学を取り巻く状況は劇的に変わりました。これらの変化に対応するため、修士課程・博士課程の設置、インターネットで単位修得が完結するオンライン授業の配信、地上放送・CS放送からBSマルチチャンネル放送への一元化、さらにコロナ禍での面接授業を継続するためライブWeb授業の創設・科目数の充実など、不断の改革も重ねられてきました。

 このように本学が試行錯誤を経つつも順調に発展することができましたのは、ひとえに、これまで本学の設立・発展にかかわってこられた国会議員各位、文部科学省・総務省・財務省等の諸官庁、千葉県等の地方公共団体、国公私立大学等の関係者の方々、NHK等の放送関係者の方々をはじめ多くの関係の各位・各機関の御指導、御支援の賜であり、また、これまで本学に勤務された教職員の方々のご尽力のお陰であります。ここに改めて深甚なる敬意と謝意を表する次第であります。

 放送大学学園・放送大学では、令和4年3月に策定した「放送大学学園中長期ビジョン」等に基づいて、令和4年度にはインターネットを活用したWeb単位認定試験の試行を開始し、履修科目の選択肢が広がったり受験率が向上したりする効果が現れています。令和5年度にはBSテレビ放送の番組編成を改定し、すべての授業番組を高精細画質で視聴できるようにするとともに、ほぼ24時間放送による視聴機会の向上を図りました。今後は、リカレント教育ニーズへの対応、在外邦人や外国人への教育機会の提供も含めた教育の国際化の推進、メディア教育研究開発機能の活性化、企業を含めた関係機関・団体との連携などにも積極的に取り組んでまいります。

 今後とも、我が国の中核的な生涯学習機関として発展できるよう、役員・教職員が一丸となって努力をしてまいりますので、関係の皆様方の従前にましての御指導と御支援を心よりお願い申し上げます。

放送⼤学⻑ 岩永雅也

「40周年に来し方行く末を思う」

 放送大学は、1983年の創設から40周年を迎えることとなりました。制度上、「放送大学学園法」に基づいて設置された特別な学校法人・放送大学学園が設置する私立大学ですが、創設の経緯や国からの補助金の規模などに関しては、国立大学に極めて近い性格を持つ大学です。その原点は、半世紀前、1967年の社会教育審議会への当時の文相の諮問「映像放送およびFM放送による教育専門放送のあり方について」に求められます。諮問の背景には、第一に、大学紛争によって明らかになった大学教育の閉鎖性などの問題点に関して多様な教育改革が求められていたこと、第二に、実用化されるUHFおよびFM波の教育分野での利用が模索されていたこと、そして第三に、世界的な生涯教育推進の潮流がありました。その諮問への答申を受けて文部省は1969年に「『放送大学』の設立について」を発表し、放送大学の名称もそのときに定められました。そうした背景のもとに出発したことで、放送大学は「いつでも、どこでも、誰もが」学べる大学を標榜しつつ、他の伝統的な大学にはなかった多様なミッション(社会的使命)を掲げることとなりました。それは、①生涯学習機関として広く社会人等に大学教育機会を提供し、②新しい高等教育システムとして新規高卒者に対し柔軟な大学進学機会を保障し、③既存の大学との連携協力のもと単位互換、教員交流、放送教材の普及などにより大学教育全体の改善を実現する、といったミッションです。現在は、社会の要請を受けて、④職業・資格に関わるリカレント教育の推進が加わっております。

 今日の放送大学は、学士課程のみならず大学院修士課程・博士後期課程をも有する日本最大の遠隔大学です。BSチャンネルによるテレビ・ラジオの放送授業のほか、ネットを利用したオンライン科目などをあわせ、毎学期約400科目に及ぶ授業を提供しています。また、一時コロナ禍で手控えられていた全国57カ所の学習センター、サテライトスペースでの面接授業も復活し、年間約3,000科目が開設されています。ネットを利用して全国から受講できる同時双方向のライブWeb授業も2022年度から始まりました。提供されるカリキュラムは、学部、大学院ともに健康科学、生活科学、発達科学、社会科学、人文学、情報学、自然科学など、総合大学に匹敵する広がりを持っています。現在、学部と大学院を合わせて約8.5万人の方々が、自身の興味関心とペースに合わせ、全国津々浦々で学んでいます。

 40周年を節目に、放送大学は今後、従来の対面指導も大事にしつつさらなるDX(デジタル化)を進め、真に全国そして世界に開かれた学びやすい高等教育機関となる努力を重ねてまいります。放送大学の次の10年にどうぞご期待ください。